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オクシタニー地域圏

オクシタニー地方フランス語 : Occitanieイタリア語 : Occitanieオック語Occitania | 正式名称 : オクシタニー地域圏、別称 : オクシタニア)は、フランス南部に位置する(地域圏)で、トゥールーズ(Toulouse)やルルド(Lourdes)などの主要都市があり、非常に温暖な地域です。この地方は広大であるため場所によって雰囲気は全く違い、「バラ色の街」(la ville rose)トゥールーズから世界遺産である日陰のミディ運河(フランス語 : canal du Midi)を伝いラングドック(オック語Lengad'oc)の平原に出るか、はたまた壮厳なピレネー山脈か、セヴェンヌ山脈(Cevennes)で自然の美しさを感じるか、選択肢は山ほどあります。トゥールーズ・カルカソンヌ(Carcassonne)やポン・デュ・ガール(Pont du Gard)、ルルドなどの観光業が発達している街もあれば、伝統的・郷土的な文化を持つ中小都市も多くあります。これらの都市では地元の食べ物・ワインなどを楽しむことができ、それらは非常に美味です。また、この地方には先ほど挙げたポン・デュ・ガールをはじめとした世界遺産やそれに準ずる遺産が多くあり、芸術や建築はもちろん詞などの無形遺産も多く残っています。当地方には非常に興味深い歴史があり、文化や習慣は隣国・スペインに近いものがあります。

地図
オクシタニー地方の地図


  エロー県 (モンペリエ, ロデーヴ, ベジエ)
エロー川に由来するこの県は、地方の中で最も長く且つもっとも商業の発達した県であり、海辺のリゾート地として親しまれています。
  オード県 (カルカソンヌ, ナルボンヌ)
オード川を名前の由来とするこの県は、丘陵地帯でコルビエールワインの生産が盛んな他、カルカソンヌの城塞やナルボンヌの自然など、多くの魅力があります。
  ガール県 (ニーム, アレス, ル・ヴィガン)
ポン・デュ・ガールの水道橋、ニームの特徴的な神殿・闘技場など、古代ローマ時代の石造の遺物・遺産が多く残っています。アウトドア派の旅行者にはセヴェンヌ国立公園がおすすめ。
  ロゼール県 (マンド, フロラック=トロワ=リヴィエール)
この県には非常に珍しいオオカミや野生のムフロンなどの生物が住んでおり、セヴェンヌ国立公園はそれらの動物の宝庫です。中央高地をはじめとした山岳地帯は非常にハードな山登りとなることでしょう。
  ピレネー=オリアンタル県 (ペルピニャン, セレ, プラード)
「フランス領カタルーニャ」という別名でも呼ばれているこの県には、非常に蛇行している川の流れている美しい渓谷が多くあります。カタルーニャ地方を代表する都市であるペルピニャンの北には葡萄畑と歴史の古い港があり、曲がりくねった海岸線に沿って広がっています。
  オート=ガロンヌ県 (トゥールーズ, サン=ゴーダンス, ミュレ)
トゥールーズは賑やかで人気なのはもちろんなのですが、この県は水路の豊かさでも一定の知名度を保っています。
  アリエージュ県 (フォワ, パミエ, サン=ジロン)
この県はあまり知られておらず、実際よりも過小評価される傾向がありますが、実際には非常に美しい県であり、長閑な牧草地の広がる平原部とピレネー山脈の高地とに分かれています。
  アヴェロン県 (ロデーズ, ミヨー, ヴィルフランシュ=ド=ルエルグ)
中央高地の南端であるこの県は、マウンテンスポーツからミシュランにも載っている地元料理の店、現代工学の傑品であるミヨー橋(フランス語 : Viaduc de Millau英語Millau Viaduct)などがあります。
  ジェール県 (オーシュ, コンドン, ミランド)
スローフードを愛している人々のための新鮮な野菜が多くある県で、城壁で覆われた町々の間は非常に長閑で綺麗な田舎的地域が広がっています。
  ロット県 (カオール, フィジャック, グルドン, スイヤック, サン=セレ)
岩がごつごつとしている自然公園であるコッス・デュ・ケルシー自然公園が県の大部分を占めているこの県には、自然に溶け込んだいくつもの町があります。例えば、赤ワインで有名で世界遺産のヴァラントレ橋のあるカオール(Cahors)、例えばおとぎ話に出てきそうな町・ロカマドゥール(Rocamadour)などです。
  オート=ピレネー県 (タルブ, アルジュレス=ガゾスト, バニェール=ド=ビゴール, ルルド)
ピレネー山脈とその自然の雄大さは、冷たい湖やだんだんと減っている氷河、そして勿論巌巌とした山が示しています。ルルドはカトリックの巡礼地として世界的に有名なコミューンです。
  タルヌ県 (アルビ, カストル)
あまり知られていない県ですが、典型的な中世の街並みや非常に美味なワインの山地があり、他にも珍しく・そして面白いチョコレートアートの美術館なども数多くあります。
  タルヌ=エ=ガロンヌ県 (モントーバン, カステルサラザン)
フランスの中でも有数の"非"観光地で、観光客はほとんどいません。しかし、そうであるためにテラコッタの町や森の中の丘陵、魅力的な中小規模の村などがあります。特に、街並みは綺麗なので時間が余ったらこの県のコミューンに拠ってみるのも悪くないかもしれません。

都市

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  • 1 トゥールーズ    — 行政区分としての地域圏の首府であるこの都市は、学生が多い若い街であり、フランスよりもスペインに近い雰囲気のある活気に満ちた場所です。フランスラグビー・エアバスの本拠などの特徴を持つここは、レンガやテラコッタによる建築で町が出来上がっており、その様子から一つの相性が付けられています―「バラ色の町」
  • 2 アルビ    — アルビは、一見すると「Game of Thrones」の映画の撮影地のような印象ですが、フランス南西部の文化が非常によく根付いています。ユネスコの世界遺産にも登録されている美しい旧市街は、要塞と化した大聖堂を中心に出来上がっており、タルヌ県への旅行の宿泊場所としても非常に有用です。この地は画家などをやっていたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの生誕地でもあるため、彼の遺産も多く残っています。
  • 3 ベジエ    — ラングドックの中心部に位置し、丘の上には歴史ある中世の街が並び、その光景は素晴らしいものです。ビーチ・葡萄畑・ローマの遺物/遺跡などなど、魅力が詰まっています。8月には闘牛祭があり、私たちはその大活劇と展開に魅了されます。闘牛祭は血の伴うまさにローマ時代の文化です。
  • 4 カルカソンヌ    — この要塞化した中世の都市は、フランスの中でも象徴的な存在であると言えるでしょう。13世紀に建設された本物の要塞は、当時から残っている城壁や塔などを実際に歩くことができ非常に趣がありますが、円錐型の屋根のまるでおとぎ話に出てくる建物の様な建造物は、ウジェーヌ・エマニュエル・ヴィオレ・ル・デュクによるものです。最近では、ディズニーランドからネズミを取り除いたような感じになってしまっていますが、それでも地方を訪れる際には絶対的にいくべきだと言えます。
  • 5 モンペリエ    — 地方第二の都市であるモンペリエは、トゥールーズに同じく活気に満ちている学園都市です。ヨーロッパの中でも最古の植物園をはじめ、歴史がある名所があります。ビーチにも非常に近いという利点もあるこの都市は、気候も雰囲気も地中海性気候で、料理や酒類などは国際色豊かです。
  • 6 ナルボンヌ    — 古代ローマ人にとっては「Narbo Martius」という名で通っているこの都市は、考古学マニアにはたまらない遺物・遺産が非常に多く遺っています。それに永遠に未完成な大聖堂、中世に作られた地区も非常に魅力的です。運河沿いを散歩したり、広場のカフェで一呼吸吐いたり、ビーチに行ってみるのもいいですね。
  • 7 ニーム    — ニームの円形劇場は非常に美しく、豪華で、イタリアにある物に次いで素晴らしく、イタリア以外では最も素晴らしい物でしょう。そのコロッセオに次ぐレベルの迫力の他にも、メゾン・カレの2000年も月日が経っていることを感じさせない美しさは行かないという選択肢を観光客に選ばせないほどの素晴らしきものです。地元の公園にも多くの銅像や遺跡などがあり、街の長い歴史は3つある博物館を巡ることでよく知ることができます。
  • 8 ペルピニャン    — ここでは、パリ祭よりもサン・ジュアン祭りが盛り上がりを見せ、カスレ(フランス語 : cassoulet)よりもパエリア(カタルーニャ語paella)の方がメニューに出る頻度が高いなど、スペインの影響を非常に強く受けています。路地は狭く広場が多いです。教会やモニュメントを巡るのもいいですし、マヨルカ島の離宮・マリベント宮殿も景色を楽しめます。

知る

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歴史

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英語圏では頻繁にオクシタニアと呼ばれるこの地域は、かつてのラングドック=ルシヨン地域圏とミディ=ピレネー地域圏が統合されることにより2016年にラングドック=ルシヨン=ミディ=ピレネーとして成立しました。歴史的な観点から見るとこの地域はフランス語圏ではなくオック語(英語Occitan)圏で、当言語の「はい」にちなんで英語では「Langue d'Oc / lenga d'òc」と呼ばれます。中世期末にトルバドゥールが中心となって大規模な叙情詩の披露があり、これによりヨーロッパ南西部で叙情詩が流行したことがありました。

気候

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 気候 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
 
最高気温 (°C) 9.4 11.2 14.7 17.4 21.6 25.5 28.7 28.4 24.7 19.7 13.2 9.8
最低気温 (°C) 1.4 1.7 3.8 6.2 10.2 13.6 15.8 15.6 12.3 9.5 4.9 2.1
降水量 (mm) 55.9 53.1 51.5 82.0 79.9 64.4 40.6 55.9 57.1 65.4 60.0 65.1
日照時間 (時間) 96.6 118.6 177.0 183.6 219.3 244.9 270.6 255.7 213.5 154.1 92.7 86.8

アルビの気候。情報は英語版Wikipediaより

この地域は3つの気候帯に属しています。海岸沿いは地中海性気候で、長くて暑い夏に雨のよく降る冬が常です。この気候帯は気候変動により北・西に拡大していることが知られており、森林火災のケースが増加しています。西側の平野部には大西洋気候により涼しいですが、雨が多いです。ピレネー山脈は寒く、冬は雪が降るため降水量が多いことが特徴です。全体的にみると、フランスの中では比較的暖かい地方であるため、季節ごとの災害を避ければ1年中いつでも旅行に来ることができます。

話す

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オクシタニー地方の主要な言語はもちろん公用語であるフランス語なのですが、地方に住む地元の人々のうち大半はローカル言語の影響もあり強いアクセントを持っている、方言の様なものを話します。もしもあなたがフランス語話者で、なおかつそういったことに興味があるのであれば地元独自のアクセントである「シャンタン」(フランス語 : chantants | 直訳すると「歌」・「歌うような」という意味)を調べてみましょう。地元の人々のアクセントはメロディアスで地中海を感じさせるようなものがあり、好きな人にはとても魅力的なものです。

フランス語は話せなくても困ることは少ないですが、基本的な礼儀として何語でも話す前にはまず「bonjour」(ボンジュール、「ル」の音に注意)というべきです。英語などで用が足りることがほとんどですが、長閑さを求めて田舎に行くときにはある程度のフランス語の能力が要求されるでしょう。英語が通用するのは外国人の多いトゥールーズや学園都市のモンペリエなど、主要都市或いは観光都市にかぎられますが、それでも旅行者にとってはそれで十分な場合がほとんどです。フランスの田舎の美しさも観光したいというのであれば、会話集を片手にフランス語の勉強を始めましょう。

南仏全域で話されたいたオック語は、今現在も数カ所の村で話されており、大都市でも地元の文化などを尊重する団体がオック語の保護などを推進しています。道路の標識はフランス語とオック語の両方で書かれているバイリンガル式のところが多く、駅の看板などにもオック語がつかわれていたりします。また、カタルーニャ語ピレネー=オリアンタル県で話されており、国境辺りではフランス語を話すことに若干の抵抗を覚えることもあります。例えば、フランス語で「ボンジュール」と言うと、カタルーニャ語で「ボンディーア」(おはようございます)と返されてしまうことがあります。

着く

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飛行機で

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オクシタニー地方は、国際空港が多くありますが、長距離路線がほとんどありません。ヨーロッパ以外の国から来る場合は、ヨーロッパの主要空港(フランクフルトロンドン・ヒースローパリ=シャルル・ド・ゴールなど)を経て入国するのが簡単で、便利でしょう。また、バルセロナ=エル・プラット空港に着港し、ペルピニャンまでを飛行機に比べて少し遅い鉄道で移動することもできます。地域の主要空港は、主にトゥールーズとモンペリエにあります :

鉄道で

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TGV(高速鉄道、日本で言う新幹線のようなもの)のネットワークがこの地方にも乗り入れています。特に東部はスペインへ出るための主要ルートになっているため、多くの都市では高速の路線から離れているもののTGVが運行されています。

カルカッソンヌモンペリエナルボンヌペルピニャントゥールーズは、パリリヨンマルセイユバルセロナから直通列車が走っており、他にもボルドーニースなどの南仏やマドリードサラゴサなどのスペインからも多くの目的地へ行くことが可能です。乗車券や旅程については、SNCFが最も信頼できます。パリ・リヨン駅からモンペリエまでは3時間半、パリ・モンパルナス駅/オステルリッツ駅からトゥールーズ・マタビオ駅まで4時間半〜5時間、バルセロナ・サンツ駅からモンペリエまでは約3時間です。

移動する

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観る

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する

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食べる

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飲む

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泊まる

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この地方は観光地として人気であるため、宿泊施設は充実しており、小さな村であっても少なくとも1つはホテルかB&B(chambres d'hôte)、あるいは自炊の宿泊施設(gîtes)があります。他の地域と同様にキャンプ場も一定数存在します。

安全を確保する

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出かける

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フランス

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