掛川市(かけがわし)は、静岡県西部(遠州)の都市。
江戸時代には掛川宿が東海道の主要宿場町となり、また掛川城を核とした城下町でもあった。市域は佐野郡および小笠郡に含まれ、牧之原台地のすぐ西に位置している。
安土桃山時代には山内一豊の城下町であったため、この縁で高知市(高知県)との交流関係が深い。江戸時代には掛川藩、横須賀藩の城下町となり、東海道掛川宿、日坂宿の宿場町でもあった。2005年4月1日に、旧掛川市、大東町、大須賀町の1市2町が合併して、現在の掛川市となった。
農業が主要産業の一つであり、緑茶の栽培は全国屈指の産出量を誇る。合併によって牧之原市が成立するまでは、荒茶の生産量全国1位であった。
東海道新幹線掛川駅や東名高速道路掛川インターチェンジとともに工業団地の誘致に成功、拠点都市としての性質を強めると同時に製造品出荷額1兆円を超える県内有数の工業都市となった。その結果、脆弱であった財政基盤は大幅に改善され、2006年には財政力指数が1.033に到達、初めて普通交付税不交付団体となった。しかし、2006年度末には借入金総残高が1016億円に達し、実質公債費比率が18%を超過したため地方債許可団体となった。
また、「スローライフ」を宣言しており、郊外化やスプロール現象の促進とは正反対で、中心市街地の活性化で個性を強化する路線を掲げており、中心市街地活性化法(タウンマネージメント機関)の実践が顕著である。
倉真温泉、法泉寺温泉など市内各所の温泉街や掛川花鳥園などの観光地を訪れる観光客も多い。また、1970年代には吉田拓郎やかぐや姫、2000年代にはap bankなどが野外コンサートを開催するなど、ロック・フェスティバルの街としても知られている。さらに、掛川市役所や掛川警察署の公式ウェブサイトにて流れるテーマ曲が話題となる。
話す
編集市内全域で遠州弁が話されている。また、旧遠江国に属しながらも、大井川を越えた旧駿河国に程近いという位置から、一部では静岡弁(駿河弁)も話されており、遠州弁と静岡弁の混在したアクセントも見受けられる。
着く
編集東海道新幹線、東海道本線、東名高速道路、国道1号といった国土の大動脈が市街地中心部を横断しており、都市間交通、広域交通は比較的充実しているといえる。しかし、地域間交通、特に南北方向の交通整備はやや遅れており、改善のためにコミュニティバス路線の拡充、また合併特例事業として掛川市街地と大東・大須賀市街地及び新東名高速道路森掛川ICを結ぶ南北縦貫道路・東西環状線の建設などの施策が行われている。
観る
編集する
編集市内に所在する各神社を中心に、さまざまな祭礼が行われている。観光客が多く訪れる祭礼としては、遠州横須賀三熊野神社大祭や掛川祭などが知られている。これらの祭礼では二輪屋台が用いられ、一本柱万度型、掛川型、日坂型など、祭りが開催される地域によりさまざまな形状がある。
自然環境
編集マイバッグ運動が展開されており、2007年から市内全域のスーパーマーケットでレジ袋が有料化された。環境保護を目的とする基金「掛川市環境基金」を市が設立し、環境保護活動に取り組んでいる。市内の企業から提供されたリサイクル資源を環境保護団体「掛川エコ・ネットワーキング」に販売させ、その収益を基金に積み立て環境対策に充当している。また、市民有志によりマイバッグ運動のテーマ曲『いつも持っているマイバッグ』が作成され、掛川市役所の公式ウェブサイトやマイバッグ運動に参加する各店舗で流されている。
食べる
編集郷土料理としては、「いも汁」が挙げられる。とろろは静岡県を代表する郷土料理の一つであるが掛川では一般にいも汁と呼ばれる。自生したヤマノイモをすりおろし、すり鉢でこねながら、鯖出汁の味噌汁で伸ばし、これをご飯に掛けて食べる。薬味としてすりおろした生姜、刻みネギ(わけぎ)を添える。
B級グルメとしては、かつて掛川市から浜松市にかけての地域で広く食べられていた「酢味噌の素麺」が挙げられる。2000年代以降、B級グルメの一品として再評価がなされ、酢味噌の素麺が再び注目され始めている。
ご当地グルメとしては、掛川商工会議所「大河ドラマを生かす会」の呼びかけで制定された「お千代御膳」が挙げられる。以下の条件さえ満たせばそれ以外は制限がないため、刺身、てんぷら、鰻の蒲焼きなど多彩な品を添えた各店独自のメニューが市内各所で楽しめる。
- お千代御膳の定義
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- 特産の緑茶を使用した茶飯。
- 千代(見性院)が十両で名馬を購入した伝承に基づき、小判に見立てた卵焼き。
- 地元の野菜を使用した煮物。
- 果物。
- 1590年に山内一豊が掛川城主になった事から、価格は¥1590以上。
健康を維持する
編集市内全域で医薬分業が浸透している。特に、掛川市立総合病院では、処方箋を処方箋薬局に対しファックスで送信するサービスを実施しているため、かかりつけ薬局に行けば、即時に薬を受け取る事ができる。2000年代後半からは、薬局での処方内容を記録する手帳(いわゆる「お薬手帳」)に、病院・診療所、歯科医院での診察内容も併せて記録する試みが始まっており、医師、歯科医師、薬剤師間での情報共有が進められている。
医師不足や病院設備の老朽化が課題となっており、2013年5月1日に袋井市と共同で新病院「中東遠総合医療センター」を掛川市菖蒲ヶ池に開院した。複数の市立病院の統合は全国初の事例となる。また、予測される東海地震の想定震源域であることから、事業継続計画に対応した病院としても注目されている。旧病院跡地は医療・福祉関連施設として利用される予定。